1日も早い拉致被害者全員の救出にむけて!

北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール2020
中学生部門 優秀賞
今、考えるべきこと
静岡市立安東中学校3年 濁澤 美羽

北朝鮮の拉致問題について、貴方はどう考えているだろうか。私は、この問題が過去のこととならないように、もっと沢山の人が関心を深めるべきだと強く感じている。

私が拉致問題に興味を抱いたのは、今年六月に報じられた横田滋さん逝去のニュースを目にしたときのこと。四十二年前に北朝鮮に拉致された娘、横田めぐみさんとの再会が叶わなかったことを知った。拉致が発覚してから約十八年。拉致被害者帰還を求める人々のシンボルといわれていた滋さんのことを知り、自分もなにかしなければという強い衝動に駆られたのだ。

「行ってらっしゃい。」最後に交わしたのはいつもと何ら変わりない言葉。約二十五分間のアニメに詰め込まれた拉致問題の実態は、想像を絶するものだった。アニメ「めぐみ」は滋さんと妻の早紀江さんの話を元に作成されている。映像を見ていて何度も感じたのは、胸が締めつけられるような苦しさだった。

「声どころか、身体中身動きが取れないような状況にされて、押さえつけられて。暗くなってから船に乗せられたというのが拉致の実態です。」被害者の一人である蓮池薫さんはインタビューで当時の状況をこう語っている。中学一年生で被害に遭っためぐみさん。拉致された当時の年齢が自分と近いこともあり、もし自分の身に起こったら…と恐怖に身震いした。当たり前だったはずのめぐみさんの日常は、たった一瞬で崩れてしまったのだ。

私が一番驚いたのは、問題の発覚に約二十五年もの時間を要したことだ。その間なんの手掛かりもない状況で、めぐみさんの帰りを待つことしかできない悲しみは家族以外の誰にも分かりえないものだと思った。

「行方不明」から「拉致問題」に一変したのは、私たちが生まれる三年前の九月十七日の日朝首脳会談でのこと。北朝鮮は拉致を認め謝罪した。そして翌月には五人の被害者が帰国。様々な葛藤の中で、娘の帰りを信じて活動する滋さんにとっても一筋の光となったはずだ。

現在に至るまで、拉致問題に大きな進展は見られていない。私は今、この問題が風化しつつあるのではないかと感じている。横田めぐみさん一家の再会が叶わなかった今だからこそ、私たちはこの問題をもっと重く捉えるべきではないか。「昔」の話として片付けるのではなく、「今」どうなっているのか関心をもつこと。学んだことを他の人に伝え繋ぐこと。今の私にできることは本当に小さなことかもしれない。でも私は信じている。些細な行動が未来を明るくするための材料となる日がくることを。拉致問題に対する関心が強まり、一刻も早く問題が解決することを強く願っている。